雇用問題――蛇口を開けっ放しにしておいて貧相な器で受けようったって無理です
ポチです。
12月に入りました。
昨日から本当に寒くなっています。
天気予報では、山口県は、昨晩から今日にかけて、平野部でも雪が積もると言っていたので、「積もってるかなあ」と朝起きて外を眺めましたが、屋根の上がうっすらと白くなっている程度でした。
でも、今日一日、雪が降り続いています。とても積もるほどではありませんが、このまま夜まで降り続くと明日の朝は大変なことになるに違いありません。
加藤周一さんが亡くなられました。
宇部市で講演された際、その話に深く感銘をうけました。日本を代表する「知性」だっただけに、非常に残念に思います。
ご冥福をお祈りします。
さて、今日の話題はコレです。
追加雇用対策:都道府県に雇用基金 総額1500億円--政府・与党方針
◇140万人下支え
自民、公明両党は5日、今後3年間の追加雇用対策をまとめ、麻生太郎首相に提言した。各都道府県に基金(総額1500億円)を設け、失業した非正
規労働者や中高年が社会復帰するまでの間、一時的な仕事に就けるようにする緊急雇用創出事業(仮称)を創設することなどが柱。雇用保険の積立金と一般財源
から1兆円ずつ、計2兆円を支出し、140万人規模の雇用を下支えする。来週にも、政府・与党方針として正式決定する。
政府の追加経済対策では、60万人の雇用を支える方針を掲げたが、11月以降、期間従業員や派遣社員の契約を更新しない動きが急速に広がってい
る。このため失業率が過去最悪(5・5%)を超える6%まで悪化することも想定し、140万人規模の雇用を支える対策へと拡大した。一般財源からの1兆円
は、主に緊急雇用創出事業に投入する。基金用にまず1500億円を2次補正で支出し、状況に応じてその後も必要な積み増しをする。
その他の主な対策は、派遣社員を派遣先企業が直接雇用した場合、正社員としての雇用なら1人当たり最大100万円、有期雇用なら同50万円を支給
(大企業は半額)▽悪質な採用内定取り消し企業名の公表▽非正規労働者の雇用保険の加入条件を「1年以上の雇用の見込みがある場合」から「6カ月以上」に
緩和▽社員寮から出る失業者に対する住宅の提供--など。厚生労働省は雇用保険法の改正案を来年の通常国会に提出する。【堀井恵里子】
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■与党の雇用対策■
・140万人の雇用下支えに3年で2兆円
・派遣社員の正社員採用に1人あたり最大100万円(大企業は半額)支給
・失業した非正規労働者や中高年のつなぎ雇用創出へ都道府県に基金(総額1500億円)を創設
・雇用保険の拡大(非正規労働者の加入条件は「6カ月以上の雇用の見込み」に緩和など)
・悪質な内定取り消しは企業名公表
・雇用調整助成金の対象に雇用期間6カ月未満の非正規労働者、新卒者も加える
・社員寮を出た失業者に敷金・礼金貸与、雇用促進住宅の提供
毎日新聞 2008年12月6日 東京朝刊
全国で、派遣社員や期間労働者など非正規雇用の「雇い止め」という名前の解雇が相次いでいます。
私の住んでいる宇部市やお隣の山陽小野田市でも大量の失業者がうまれるようです。
宇部市にあるNECの工場が大量の派遣労働者を解雇しているそうです。また、山陽小野田市にあるTHKでは、400人の期間社員の解雇がおこなわれているそうです。
また、この地域の最大の企業である宇部興産でも、派遣社員の解雇がおこなわれていると聞きます。
まるで、底なしの様相です。
では、記事にある与党の雇用対策はどうなのでしょうか?
まあ、やらないよりはやった方がいいのですが、「こんなものでどれだけの失業者が救えるのだろうか」と思わざるを得ないものです。
この「雇用対策」の一番の欠陥は、これらの対策がいずれも失業者がうまれた後の対策でしかないということです。
さっきも言いましたが、「底なし」の様相です。新聞に「・・・社が●●人の派遣社員を解雇」などという報道が出ない日はないと言ってもいいくらいです。
蛇口を開けっ放しにしておいたままでは、どんなに立派な器を準備したとしてもいつかは必ずあふれ出てしまいます。ましてや、器が貧相であれば、アッという間にあふれてしまいます。
いま、大切なのは、失業者を可能な限り出さないこと、つまり、「安易な解雇は絶対に許さない」ということに政治が責任を持つことではないでしょうか。
もちろん、中小零細企業が生き残るために、涙を呑んで従業員さんに辞めてもらうという場合など、誰がどう見ても「仕方がない」ということはあるでしょう。
しかし、今、問題になっているのは、巨大な企業です。そして、これらの企業は、現に利益を立派にあげています。
たとえば、NECは、10月末に、景気の悪化に伴って、今期の業績予想を下方修正すると発表しています。その下方修正した後でも1200億円の営業利益があるとしているのです。また、昨年3月末時点で、9000億円もの内部留保をもっています。
「儲けが減るのはいやだから労働者のクビをきる」、こんな勝手が許されていいのでしょうか。
労働者は生身の人間です。そして、派遣契約であれ、期間契約であれ、その契約は、その労働者の生活と人生のこれからに直結しています。突然の契約破棄によって、文字通り、生きることを即否定されてしまう場合だってあるのです。
それだけに、派遣といえども、「雇用」したことに対する社会的責任が企業にあることは当然です。
今、政治に求められているのは、この社会的責任を企業に果たさせることではないでしょうか。
麻生首相は、日本経団連の御手洗会長などに雇用安定の「要請」をしたようです。次の記事をご覧ください。
麻生首相:経団連会長、日商会頭に雇用安定への協力要請
麻生太郎首相は1日、首相官邸で日本経団連の御手洗冨士夫会長、日本商工会議所の岡村正会頭と会談し、雇用環境の改善に関し、(1)雇用の安定
(2)賃上げ(3)内定取り消しの回避--の3点で協力を要請した。金融危機を背景とした雇用情勢の悪化を受けたものだが、雇用対策に取り組む政権の姿勢
を強調する狙いもあったようだ。
要請に対し、御手洗会長は「雇用の安定維持については経済界としても努力する。内定取り消しについては首相の要請を周知する」と応じた。(後略)
毎日新聞 2008年12月1日 20時57分
ところが、その3日後、・・・・・。
請負・派遣1200人削減 大分キヤノン、デジカメ不振
2008年12月4日7時6分 asahi.com
キヤノンのカメラ生産子会社、大分キヤノン(大分県国東市)が製造現場で働く1千人超について、請負会社などとの契約を解除することがわかった。デジタ
ルカメラ販売が伸び悩んでいることに対応する。厚生労働省関係者によると、年内にも実施され、多くの人が職を失うことになる見込みだ。
大分キヤノンが解除を検討しているのは、ライン生産などに従事する請負会社8社(従業員計1131人)との請負契約や、派遣会社13社(計46人)との派遣契約。請負・派遣会社の従業員とも、契約解除が直ちに解雇につながるわけではない。
一方、大分キヤノンはホームページで、自社で直接雇用する期間従業員を募集しているが、人数について親会社のキヤノンは「決まっていない」としている。
デジカメ市場はここ数年、年率2~3割と右肩上がりで伸びてきた。だが、金融危機で海外需要が伸び悩み、08年の世界の出荷台数は初めて前年実績
を下回る見込みだ。デジカメ各社は相次いで販売計画を下方修正。最大手のキヤノンは10月末、コンパクト型を2500万台から2350万台に改めた。
競争激化で、コンパクト型の販売価格は落ち込んでおり、「消耗戦が加速している」(アナリスト)という。
今回の人員削減計画について、親会社のキヤノンは「こちらで出した数字ではないので把握していない」(広報)と話している。
「努力」した結果がこれだということのようです。
麻生さんもなめられたものですね。
「要請」ではダメです。企業に社会的責任を果たさせるという確固たる姿勢が必要なのだと思います。
「整理解雇四要件」というのがあります。労働者を解雇するときは、次の四つの要件が必要だというものです。
①人員削減の必要性
②解雇回避の努力
③人選の合理性
④労働者との説明協議義務
さっきも言いましたように、労働者の職を奪うということは、その人の生活とこれからの人生を奪うことに匹敵します。だからこそ、こうした厳しい要件が課せられて当然なのです。
先のNECはじめ、この間、非正規労働者の解雇をおこなってきている大企業には、いずれもこの「整理解雇四要件」には当てはまりません。
「儲けが減った」という程度では、当然ですが「人員削減の必要性」はありませんし、当然ですが「解雇回避の努力」もされていません。そして、「労働者との説明協議義務」も果たされていません。
であるならば、解雇は無効であるはずです。
麻生さんは、そのことを正面から企業に問い、「労働者をモノ扱いし使い捨てにすることは許さない」という姿勢をとるべきです。
そうして、蛇口をキチンと閉めてこそ、その他の雇用対策も生きてくるのではないでしょうか。
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