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2008年9月12日 (金)

財源論にみる民主党への不信

 ポチです。
 今日は、台風の接近のせいか、暗くどんよりとした一日でした。
 時折、激しい雨も降りました。
 いつの間にか、蝉の鳴き声が虫の音に変わり、こうしてどんどん秋が深まっていくのですねえ。


 さて、総選挙が風雲急を告げています。11月9日投票というのが一般的な見方だったようですが、今日になって「10月26日投票日」説というのを耳にしました。
 つまり、11月9日投票と言うのは所信表明演説と代表質問をおこなった後で解散というシナリオなのですが、それも全部すっ飛ばして文字通りの「冒頭解散」して10月26日投票というわけです。
 できるだけ国民に政権の正体をみせないようにして、という作戦ですね。
 「政治」って一体何なのか、わけがわからなくなります。

 ということで、自民党総裁選のことも気になるのですが、どうやら盛り上がりにも欠けているようですし、今日は、一足飛びに総選挙のことを書きます。

 で、何を書くかと言えば、民主党のことです。
 私が素敵なブログだなあと思っていつも読んでいる「大脇道場」の友さんと超人気ブログ「カナダde日本語」の美爾依さんの民主党を巡るやり取りをみて触発されたからです。

 民主党の評価は様々です。日頃からブログで新自由主義や改憲の動きを批判している方が、なぜか民主党の熱烈な支持者だったりします。友さんも指摘されているように、美爾依さんなどはその典型なのかもしれません。
 また、民主党の中の「人」を問題にする方もおられます。つまり、自民党と変わらないような議員もいるが、反新自由主義・護憲の議員もいる。だから、反新自由主義・護憲の議員を激励して民主党を変えていくことが大切だ、というような趣旨の主張です。
 この考えはこの考えで、理解できないことはありません。たしかに、「民主党」と言っても様々です。実際、昨年の参院選のときの民主党の山口選挙区の候補者の方などは、なかなかのものだと思っています。

それでも、私はやっぱり民主党は信用できません。

 今回の総選挙も昨年の参院選同様「国民の生活が第一」というスローガンを掲げてたたかうようですが、私には、どうみても民主党が国民の生活を第一に考えている政党だとは思えないのです。
 なぜ、私がそう思うのかを書いてみます。

 小沢さんは、先日、「新しい政権の基本政策」というものを発表しました(その中身は、先に紹介した友さんの記事に出ていますので、もし必要だったら参照してください)。これがたぶん、今回の総選挙での民主党のマニフェストの原型になるのだと思います。しかし、この「基本政策」には、財源が書かれていません。この「基本政策」を発表した時の記者会見で、「財源はどうするのか?」と聞かれて、小沢さんは 官僚のムダ遣いや特別会計の洗い直しなどをあげ、「財源は十分ある」と言われたそうですが、これではよくわかりません。

 そこで、昨年の参院選の時のマニフェストをみてみることにします。
 小沢さん自身、今回の総選挙のマニフェストについて、「参院選のマニフェストと同じでいい」と言われたようですし、「基本政策」を読んでも、昨年のマニフェストと大枠で変わっていないと思います(たとえば、「子ども手当て1人26000円」など)。少なくとも、この昨年のマニフェストは現時点でも民主党によって否定されているものでないことだけは確かなので、これをもとに民主党をみても大きな不都合は生まれないのではないかと思います。

 さて、昨年の民主党のマニフェストはコレです。

 友さんが、今回の「基本政策」について、「なるほど国民の要求に合う項目もあります」と言われているように、この昨年のマニフェストも、国民の要求に応えたものが少なくありません。その点は、おおいに評価するものです。

 しかし、問題はその財源です。
 このマニフェストの12枚目に財源問題が掲載されています。
2007
        (クリックすると大きくなります)

 これによると、「民主党の『生活第一』の政策は行政のムダをなくして実現します」となっており、「子ども手当て」をはじめとした国民の要求に応える施策の財源は「ムダを省くこと」に尽きることになっています。
 そして、「ムダを省くことで得られる財源」として、

 ・補助金の一括交付化等によるムダの排除 6.4兆円
 ・談合・天下りの根絶による行政経費の節減 1.3兆円
 ・特殊法人・独立行政法人・特別会計等の原則廃止 3.8兆円
 ・国家公務員総人件費の節減 1.1兆円
 ・所得税等税制の見直し 2.7兆円

の5つをあげ、財源総額を15.3兆円としています。
 もちろん、ムダは徹底的に省いていかなければなりません。しかし、この中には、「?」と首を傾げざるを得ないものが少なくありません。いえ、首を傾げるにとどまりません。こんなことをされたら、「国民の生活が第一」どころか、国民の生活が破壊されかねないというものまで含まれているような気がします。

 その一つは、「補助金の一括交付化等によるムダの削減」で6.4兆円を削減するとしているところです。
 ここで民主党が言う「補助金」とは、たぶん地方自治体向けの補助金だと思います。というのは、国の補助金には「地方自治体向け」と「公益法人や企業向け」の2種類があるのですが、「一括交付化」という表現ができるのは「地方自治体向け」の補助金だからです。
 で、昨年度の地方自治体向けの国の補助金は、一般会計から16.5兆円、特別会計から2.5兆円、合わせて19兆円でした。
 民主党は、この中から6.4兆円を省くと言うわけです。
 しかし、この19兆円の補助金の内容を見ると、公共事業関連が約4.1兆円、それ以外はほとんどが社会保障関連と教育分野の補助金です。仮に、公共事業関連の補助金を半分に削るとしたら、社会保障や教育分野の地方自治体向けの補助金を4兆円以上削減しなければならなくなってしまいます。
 今でさえ、生活保護の打ち切りや国民健康保険証の取り上げ、教育関連予算の削減などが大問題になっているわけですが、さらに4兆円以上も削減された日には、住民の社会保障や教育は、ますます深刻な事態になっていくでしょう。
 実際、05年の総選挙の際、民主党は、マニフェストで「個別補助金の一括交付化に伴い2割の削減」として「2.8兆円の削減」と試算していたのですが、これと比べても「6.4兆円」がいかに非現実的なものであるかわかるのではないでしょうか。

 なぜ、こんな非現実的なものになっているかというと、05年の時のマニフェストでは、消費税の引き上げをうたっていたのに、07年の場合は「引き上げない」としたこと、さらに、05年のときには「子ども手当て」を月額「16000円」としていたものを07年のものでは「26000円」に引き上げた結果、その分財源が足らなくなったからだと思われます。
 この点からも、数字合わせの「財源論」だと言われても仕方がないのではないでしょうか。

 2つめに、「所得税等税制の見直し」で2.7兆円としている部分です。
 「所得税等税制の見直し」の具体的内容は書かれていないわけですが、考えられるのは、以前から民主党が主張している「扶養控除・配偶者控除・特別控除の廃止」です。「所得税等」と「等」がついているのは、所得税だけでなく住民税の控除も廃止するという意味だと思います。というのは、この間、国から地方への「税源移譲」で、住民税を増やす替わりに所得税を減らしており、所得税の控除廃止だけでは、とても2.7兆円の財源は見込めないからです。
 この「見直し」で、財源ができるのはいいのですが、その分の負担はすべて国民に押し付けられることになります。平均的なサラリーマン4人世帯で、だいたい年間20~25万円程度の大増税になるのではないでしょうか。
 「国民の生活が第一」の政策を実行するのに「国民の生活を壊す」というのはちょっと矛盾していないですかね。

 3つめに、「特殊法人・独立行政法人・特別会計等の原則廃止」で3.8兆円という部分についてです。
 独立行政法人、特殊法人の中には、原発の推進のための支出や大企業向けの研究開発費、あるいは公共事業の浪費などが含まれているようで、当然、削減する余地はたくさんあると思います。
 しかし、「原則廃止」というのはどうでしょうか?
 住宅融資や中小企業向け融資など国民の暮らしにとって欠かせない分野も含まれており、ここでも3.8兆円という数字は「国民犠牲」のうえに成り立つもののようです。

 

 あれこれと見てきましたが、これが昨年の民主党のマニフェストの実態です。
 これで、本当に「国民の生活が第一」なのでしょうか?
 民主党が仮に政権をとり、このマニフェストを実行したとします。たちまち、国民は大増税と社会保障の切り捨てに苦しめられてしまうでしょう。そのうえ、消費税の増税も、昨年の参院選、今回の総選挙では据え置きの方針ですが、はっきりとした理念があってそうしているわけではけっしてありません。国民世論の動向を見ながら「出したり引っ込めたり」しているわけで、いつでも「消費税増税」に転換する可能性を持っています。

 「国民の生活第一」の政治をおこなおうと思ったら、真のムダを省く以外に道はありません。以前にも書きましたように、アメリカ言いなりの軍事費のムダと大企業優遇のムダです。
 しかし、大企業から献金を受け取り、「日米同盟機軸」を基本とする民主党は、そこには手をつけられません。どんなに国民にとっていい政策を掲げようとも、その財源としては、結局のところ、国民の懐に手を突っ込むほかはないのです。


 以上、私が民主党を信用できない理由について書きました。
 いずれにしても、総選挙が日本の政治を大きく変える契機になってほしいと心の底から願っています。

 ポチでした。では、また。







 

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コメント

こんにちわ。
多分はじめまして、です。
記事を引用させていただきました。
お断りが遅くなり申し訳ありません。
今後ともよろしくお願いします。

http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-661.html

投稿: 友さん | 2008年9月16日 (火) 07時33分

友さん
コメントいただいていたのに、ご返事もしていなくてすみません。仕事でどたばたして、ブログに近づけないまま日にちが過ぎていました。
引用してお礼を言わねばならないのはこちらの方です。こちらこそ、よろしくお願いいたします。

投稿: pochi | 2008年9月26日 (金) 21時33分

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