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2008年8月19日 (火)

国民の姿が見えない「景気対策」論議

 ポチです。
 お盆も過ぎて、朝晩は、すっかりすずしくなってきました。
 みなさんの地域ではいかがでしょうか?
 お盆の間は、仕事疲れを癒すために、15日を除いて、オリンピックを観ている以外はほとんど寝っぱなしでした。
 オリンピックも中盤ですが、いろんなことが起きますねえ。野口選手に続き、土佐選手も、劉翔も可哀想でした。実力を発揮できないままで競技を終わるというのは、本人にとってどれだけ悔しいものでしょうか。

 オリンピック中継を観ていて思うのは2つのこと。
 1つは、インタビューのひどさです。選手による特定の答えを強要するかのような「誘導尋問」的質問や「金を期待しています」「狙うは世界新ですね?」などといらんお世話の質問の多さには辟易しています。
 2つめは、「日の丸」「君が代」の鬱陶しさです。「君が代」の方は、金メダルをとらないと聞くことはないので、まだいいのですが、「日の丸」の方は、あっちでも「日の丸」、こっちでも「日の丸」が映し出されるので、鬱陶しさは相当なものです。
 中国のお年寄りの方など、きっと複雑な思いだろうなあと思ってしまいます。

 今晩は、サッカーのブラジル対アルゼンチンがおこなわれます。ロナウジーニョ対メッシです。NHKのBSで放送されるようです。楽しみです。





 さて、今日は、今朝の「朝日」の記事からです。少し長いのですが、引用します。

選挙へ 大型補正圧力 バラマキ復活 内容より規模先行

 総選挙をにらみ、「大型補正」を求める大合唱が与党内で広がっている。景気対策に取り組む姿勢を示すメッセージ先行型で、内容よりも「2兆円~3兆円」といった規模だけが独り歩き。旧態依然のバラマキ路線が復活し、財政規律路線は後景に退いた。
                             (鶴岡正寛、松村愛)

薄れる財政規律路線

 新体制になって初めて開かれた18日の自民党政務調査会の部会長会議。各部会長からは、一斉に予算の要望項目が挙げられた。「中小企業向け融資を」「学校の耐震化を進めるべきだ」「地球環境対策の太陽光発電は、経済対策にもなる」「離島の原油高騰対策もしっかりと」
 会議では、政府が今月末に総合経済対策をまとめる前に、党として具体案を政府に申し入れる方針を確認。財源にはふれないまま、要求だけが先走りしている。
 13日に与党幹部は景気対策を目的とした大型補正予算案を臨時国会に提出する考えで一致。これを機に発言がエスカレートし始めた。
 公明党は「1兆円以上」の補正を迫る。17日のテレビ番組では、自民党の選挙実務責任者である古賀誠選対委員長が「埋蔵金といっていいか分からないが、財務省は知恵を出せと言ったら出す。2兆、3兆という金額だったら知恵を出せる」と明言。同じ番組で、森元首相も「補正を組まなければならないのは当然だ。どうせやるならしっかりとしたものを出すべきだ」と唱和した。
 与党内では財源について「赤字国債の追加発行もやむを得ない」(自民党政調幹部
)という意見が広がっている。自民党の麻生太郎幹事長が政府の財政再建目標の時期先送りの可能性にも言及し、バラマキ路線を勢いづかせた。民主党の小沢代表は、政策財源は「政権をとれば出てくる」という考えの持ち主だ。ならば景気対策で大盤振る舞いして実績をアピールし、近づく総選挙を有利に運ぼうという計算も働く。
 しかし、与党は昨夏の参院選で、民主党が政権公約(マニフェスト)で示した政策を「財源の裏付けがない」と攻撃した。さっそく古賀発言を逆手に取って、民主党の輿石東参院議員会長が「総選挙想定のバラマキ以外の何物でもなく、景気浮揚の保証もない」と批判。別の中堅幹部も「『民主党の言っていることには財源論がない』ということが実はウソだったということが、これでくしくも証明された」と揶揄した。
 秋の臨時国会で景気対策を前面に押し出した大型補正予算を編成すれば、森政権以来8年ぶりのこと。構造改革路線の転換は鮮明になる。
 自民党の保利耕輔政調会長は18日の部会長会議で「バラマキと言われるようなことはしない。財政規律は守る。構造改革に資する案を出してほしい」と強調。福田首相は同日夜、補正予算の規模を記者団に問われ、「まず中身を考えなければならない。それに必要な財源を手当てする。財政の健全化は常に年頭に置かなければいけない」と遅まきながらクギをさした。
   (・・・中略・・・)
 大型補正の景気刺激効果を疑問視する意見も根強い。大和総研経済金融調査部の熊谷亮丸シニアエコノミストは「漁業者への燃料費補助などの対処療法的な対策では痛み止めの効果しかない」と分析。「福田首相はすでに外国人投資家からバラマキ型の政治家とみられている。規制緩和や税制改正など抜本的な対策で、構造改革が続いているというメッセージを出す必要がある」と指摘する。



 とってもヘンな記事です。
 何がヘンかと言うと、この記事からは、国民の苦しむ姿がまったく見えてこないし、その苦しみに応えようという発想がどこにも存在しないことです。
 国の主人公は国民です。その国民のよりよい暮らしを守ることが「政治」というものの第一の役割のはずです。「景気対策」も、だからこそ必要なはずです。しかし、記事のどこを見ても、国民の姿はありません。
 そして、貫かれているのは、「財政規律」なるものを守ることを「正義」として扱い、それに反するものを「バラマキ」として批判する態度です。

 記事は、はじめのところで、自民党政務調査会の部会長会議で出された声を4つ紹介し、この声を入口に「財政規律路線」から「バラマキ路線」への転換だと批判し揶揄するものになっています。
 ◆「中小企業向け融資を」
 ◆「学校の耐震化を進めるべきだ」
 ◆「地球環境対策の太陽光発電は、経済対策にもなる」
 ◆「離島の原油高騰対策もしっかりと」
 これらのどこが「バラマキ」なのでしょうか?
 どれも、今の国民の暮らしにとって切実な問題のうちのいくつかではないでしょうか(当然、この4つだけではありません)。
 もちろん、記事自身も批判的に書いているように、今のところ、自民党の言っている「景気対策」なるものの中身は何も示されておらず、「内容より規模優先」というのはおかしな話です。自民党の方々のことですから、これらの「景気対策」を使って利益誘導したり、利権を追求したりする下心は当然あるのでしょう。
 しかし、記事のように揶揄すべき対象として扱う声にはとても思えません。批判するのであれば、そうした自民党の体質をこそ批判すべきであって、これらの声の実現を正面から迫ることこそが「政治」にまともに向き合おうとする態度と言えるのではないでしょうか。

 そういう記事になっている根源には、「財政規律を守る」ことが何よりも優先されるという考えが根本にあることに他なりません。
 しかし、「財政規律を守る」という名目でいったい何がやられたでしょうか。社会保障費の自然増部分から毎年2200億円もの予算が削減されていきました。「医療費を削れ」という掛け声のもと、後期高齢者医療制度が導入されました。教育予算、中小企業のための予算もしかりです。
 こうして、「財政規律」の名のもとに、国民の暮らしは次々に切捨てられていったのです。そして、それらに予算配分を厚くすることは、「バラマキ」だと批判されてきました。
 しかし、一方では、「『財政規律』?そんなもんありましたっけ?」と言わんばかりに、財界大企業への支援、軍事費には際限ないお金がつぎ込まれてきました。

 これをすすめてきたのが、いわゆる「構造改革」の号令です。
 今、必要なのは、こうした政治の在りようを根本から変えることではないでしょうか。
 しかし、国民の姿の見えないこの記事は、そんなことは想像すらできないようです。最後の部分で、大和総研のエコノミストのコメントを肯定的に紹介しました。

 「漁業者への燃料費補助などの対処療法では痛み止めの効果しかない」

 もちろん、抜本対策が必要です。しかし、今すぐ切実に求められているのは「痛み止め」だということが、なぜわからないのでしょうか?
 しかも、抜本対策ということで言えば、原油高騰の原因である投機マネーに対する規制のはずです。にもかかわらず、「外国人投資家」の心配をしているコメントを堂々と載せる神経がわかりません。
 そして、抜本的対策とは、「規制緩和と税制改正」だそうです。
 規制緩和の推進とは、「強いものはさらに強く、弱いものはさらに弱く」する、言い換えれば、大企業の利益のために「格差と貧困」のさらなる拡大をめざすということです。また、「税制改正」とは、消費税増税のことに他なりません。

 こんなコメントをまともに取り上げるなど正気の沙汰とは思えません。


 今、「景気対策」で一番大切なのは、国民の暮らしを豊かにすることです。
 そのことは、先日の記事に書いたとおりです。
 記事の冒頭に紹介された自民党の方々の声も、ある意味、国民世論に押された結果に他なりません。国民の声は政治を動かす力です。今回紹介したような耐え難い記事に惑わされることなく、「国民本位の景気対策を」の声を大きくあげていくことが大切なのではないでしょうか。



 では、また。

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