« 馬刺しは「注入」されてなくてもウマイ! | トップページ | 飾り立てた言葉の裏に隠した薄汚い本音 »

2007年12月18日 (火)

賠償額は本当に大きいのか?

 ポチです。
 仕事は、相変わらず忙しいのだけど、仕事の合間を見て、どうでもいいような内容の短い記事でアリバイ的に更新しています。
 村野瀬さんから薬害肝炎に関するTBをいただいたのですが、最近2回続いた「馬刺し」の記事にTBするわけもいかず、TB先の適当な記事がなくてお困りになったんだろうなと思います。
 申し訳ありません。


 そこで、junさんのところのこの記事にコメントした内容をベースに薬害肝炎の問題を書いてみようと思います。


 いくつかのブログを見させていただきました。いろんな意見があるものだなあと感じました。


 薬害肝炎問題は、言うまでもなくウイルスに汚染された血液製剤を出産や手術の際に投与されたことによって生まれた問題です。

 まず、言わなければならないのは、どこをどう検討しようと国と製薬会社の責任は重大だということです。
 製薬会社は、血液製剤の使用によって、ウイルス性肝炎が発症することを承知の上で大量に製造・販売をしていました。
 そして、国は、その危険性を放置していました。アメリカでは、その危険性から、1977年にはすでにフィブリノゲンの製造承認を取り消していたにもかかわらずに、です。
 その結果、薬害肝炎は蔓延してしまうことになります。
 しかも、調査によって判明していた418人の薬害C型肝炎患者のリストも厚生省は隠し続けてきました。このうち、56人がすでに亡くなっていたといいます。もし、国が早く知らせていれば、助かった人もおられたかもしれないのに・・・・。

 この間、おこなわれている裁判でも、内容はともかくとして、仙台地裁以外では、国と製薬会社の責任を認める判決を下しています。

 また、福田首相も、国の責任を認める発言をおこない、「全員の救済を」とのべ、政治解決への姿勢を表明しているといわれます。

 政府が賠償の対象を「線引き」する理由として、一律救済をした場合、賠償額の膨大さを指摘するマスコミがすくなくありません。

 たとえば、下の産経の記事。

一律救済 賠償1800億円 薬害肝炎訴訟 国試算、原告は反論
                      12月18日8時0分配信産経新聞

 薬害肝炎訴訟の和解交渉で、国が、原告団が求める「一律救済」を受け入れた場合、約1万2000人が対象となり賠償額は約1800億円にのぼると試算していることが17日、分かった
 国が和解交渉の中で、一律救済を拒み、血液製剤の投与時期を限定して責任を認めようとする背景には、試算ではじかれた莫大な額がある。原告団の主張とは大きく離れたものになっており、和解交渉が難航する一因となっている。
 関係者によると、1万2000人という数字は、汚染製剤の出荷量や感染率などから割り出した感染者の推定人数。全員が救済を求めて訴えを起こす可能性を想定して試算をしたとみられる。
 また、国側は、汚染血液製剤と並行して、輸血を行ったことで肝炎に感染した患者まで和解対象とした場合も試算。対象者は3万8000人、賠償額は5700億円と計算しているという
 一方、肝炎訴訟の原告団は、「国側が想定しているような膨大な数の提訴者が出ることはありえないし、輸血が原因の肝炎患者が和解対象となることも考えていない」と反論している。
 原告団は17日、和解骨子案に対する「修正案」をまとめた。その中で、従来主張している一律救済を前提の上で、和解対象となる患者について、「原告被告双方の協議によって、カルテや母子手帳などを証拠に汚染製剤の投与を証明する」といった認定基準を盛り込んだ。
 原告団が、和解条件を文書にまとめるのは初めて。修正案を18日に大阪高裁に提出するとともに、福田康夫首相の政治決断を文書で官邸に要請する。
                   ◇
■肝炎和解交渉をめぐる主張の相違
 【国:時期を限った救済を主張】
  ・フィブリノゲンは投与時期によって感染リスクの高低がある
  ・5地裁判決に全員一律救済を認めたものはない
  ・一律救済すると1800億円、輸血による感染者も想定すると5700億円になる可能性がある
 【原告:一律の救済を主張】
  ・カルテなど、薬害被害者の認定基準をつくれば、和解対象が膨大な数になることはあり得ない。原告が金額を主張したことはない
  ・投与時期により救済に差をつけるのは命の重さに差をつけることになる



 このことに同意はしないまでも、賠償額の大きさの前に、「『線引き』もしかたないんじゃないか」という世論もあるそうです。本当にそうでしょうか?

 原告側は、12000人とか38000人とかになるはずがなく、1000人程度ではないかと言われているようです。
 しかし、私は、12000人であろうと38000人であろうと、それが10万人になろうと、当たり前のことですが賠償すべきだと思います。
 賠償すべき人数が多く、賠償額が高いということは、それだけ被害が深刻であり、国の責任が重大だということを表す以外のなにものでもありません。すなわち国は、金額が大きくなればなるほど、問題の大きさを深く自覚し、誠意をもって対処すべきなのであって、金額が大きくなるからといって、賠償に躊躇するというのは、まったくの本末転倒であり、不誠実の極みだと思います。


 では、1800億円だとか、5700億円だとかは大きい金額でしょうか?

 「大・小」あるいは「多・寡」というのは、まったくもって相対的なものです。
 それを、つくづく感じたのは、下の記事です。長くなりますが、まだお読みになっておられない方は、ぜひご一読ください。


クローズアップ2007:ミサイル防衛本格稼働 課題残し見切り「発射」

2007121800000022maipolthum000 ◇「技術」米頼み/「憲法」棚上げ
 米ハワイ沖で17日午前(日本時間18日未明)、海上自衛隊が初めて迎撃実験を実施する海上配備型ミサイルは、日本のミサイル防衛(MD)システムの要となるものだ。北朝鮮の弾道ミサイルに対抗するMDの現状と課題は何か。欧米など他国の取り組みも併せて探った。【田所柳子、ワシントン及川正也、ブリュッセル福原直樹】

 日本のMD計画は、北朝鮮が98年に日本上空を越える弾道ミサイルを発射したのを機に本格化した。それまでは「ピストルの弾をピストルで撃つようなもの。不可能に近い」と、当時の防衛庁内でも消極論が根強かったが、政府は03年12月にMD導入を閣議決定した
 MDの技術や運用は、米国に多くを依存する。今回使用するSM3は米国製。地上配備型のPAC3は三菱重工業がライセンス生産する。弾道ミサイルの発射探知は、米国の早期警戒衛星。装備も情報も米国に頼る。
 日米両国は、14年度完成を目指し、次世代型SM3の共同開発も進める。
改良を進めれば、多額の予算を投じた現在の兵器が近い将来、使いものにならなくなる可能性もある
 防衛省は、当面の整備費用として12年度までに8000億~1兆円を見込むが、予算が倍増する可能性も指摘される。弾道ミサイルの技術向上も確実なため、永遠にいたちごっこが続きそうだ
。「核や生物兵器を搭載した弾道ミサイルを爆破すれば、住民が被害を受ける」と、今夏の自民党の国防部会では、そもそもの有効性に疑問の声すら出た
 憲法上の問題もある。日本の周辺国が中距離弾道ミサイルを発射した直後は、標的が日本か、米国など第三国なのか分からない可能性がある。しかし、ミサイルは10分で首都圏に到達する。他国を狙ったミサイルを日本のMDで迎撃することは、憲法9条で禁じられている集団的自衛権の行使に当たるとされ、安倍前政権が憲法解釈見直しを検討したが、結論は出ていない
 ◇「優等生」米は高く評価
 日本は北朝鮮の弾道ミサイルを最大の脅威に据えるが、米国は、米本土を射程に入れる潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の開発を進める中国の動きもにらむ。
 給油活動中断などで日米関係がギクシャクする中、日本のMD推進については「強固な同盟を示すシンボル」(国防総省当局者)と「優等生」扱いされている。
 ブッシュ政権が日本の初実験を高く評価する背景には、MDをめぐる「内憂外患」がある。国防予算に厳しい目を向ける民主党は、MD予算に削減圧力をかけ続けている。14日までに上下両院が可決した08会計年度国防予算で、MD関連は、政権の要望より約3億ドル削減され約100億ドル(1兆1000億円)となった。
 08年の大統領選でも、民主党は脅威の対象である北朝鮮やイランとの外交交渉を最優先する考えを強調。共和党でもMD推進を明確な公約に掲げるのはジュリアーニ前ニューヨーク市長ぐらいで、計画自体が先細りの可能性もある。
 米国は、イランに対抗するため、11年までに東欧にMD配備を進める。しかし、米政府は今月3日、イランが03年秋に核兵器開発を停止したとの情報機関の評価を公表。これにより東欧配備に強く反発するロシアとの調整は一段と難しくなる可能性が高まっている。
 ◇欧州は設計・研究段階
 東西冷戦時代に、米ソの中距離核ミサイルが配備されていた欧州でもMD研究が進む。北大西洋条約機構(NATO)は、旧ユーゴ紛争や中東情勢、北朝鮮の核疑惑などを教訓に90年代から計画検討に着手、(1)戦域ミサイル防衛(TMD)(2)加盟国全域防衛(3)ロシアとのTMD協力--の三つを柱に準備を進める。
 最も進んでいるのはTMD構想で、昨年、米・欧の企業連合体と契約を結び、システム設計に着手した。加盟国防衛は「技術的に可能」と、研究を継続している。
 これとは別に、米国が独自に東欧配備を進めるMD計画との協力も検討中だ。
                   毎日新聞 2007年12月17日 東京朝刊

 (写真は、日本時間の今朝7時ごろハワイ沖でおこなわれたSM3の発射実験。イージズ艦「こんごう」から発射されました=毎日新聞からお借りしました)


 上の二つの記事を比較してみてください。
 片や、5年後までに、8000億円から1兆円のお金をつぎ込む計画ですが、金額は倍増することも、さらにもっと増えることもある・・・・。そして、その結果は「使い物にならなくなる可能性」があるということだそうです・・・・・。フウ~(ため息です)。
 一方、1800億円や5700億円は、自分たちにはいっさい責任がないのに国と製薬会社のせいで被害にあわれた方に支払われるべきものです。

 あらためて、みなさんに問いかけたいのです。

 1800億円とか5700億円とかって、大きすぎますか?
 救済する人に「線引き」をする必要がありますか?

 被害者の一人、福田衣里子さんのブログを読みました。
 すべての被害者の救済を強く訴えられています。真実と誠意のこもった言葉に圧倒されています。

 では、また。







 

|

« 馬刺しは「注入」されてなくてもウマイ! | トップページ | 飾り立てた言葉の裏に隠した薄汚い本音 »

コメント

こんにちは^^
全くpochiさんの仰る通りです。

多寡の問題ではないでしょう。
本当は、
元通りの元気な身体に戻して欲しいのですよね。

血も涙も無い内閣閣僚です。

ミサイル関連の記事をTBさせて頂きました。

投稿: una | 2007年12月19日 (水) 17時23分

1800億円であろうが、何千億円であろうが多すぎることはありませんよね。
だって、国も製薬会社も悪いことしたんですよ。そのことを全く反省してないから額について多すぎるなんて言えるのだと思います。
悪いことした会社がのうのうともうけ続けています。
窒素も昭和電工も、ついでにキャノンもトヨタも。
怒りプンプン。

私の幼稚な記事紹介してもらって汗・・・です。

投稿: jun | 2007年12月19日 (水) 23時00分

unaさん
コメント、TBありがとうございました。

このコメントを書いているとTVが朝9時半からマスゾエさんが記者会見すると言っていました。
どういう結論にするのかわかりませんが、TVに映るマスゾエさんに向かって、「少しは国民のことを考えたまともなことをやれよ」とつぶやいてしまいました。

投稿: pochi | 2007年12月20日 (木) 09時21分

junさん
コメントありがとうございます。

原告の一人福田衣里子さんの「全員が救済されなければ私が生きている意味がない」という言葉の重みを国はなぜわからないのでしょうか。そして、その言葉は「一人当たりの金額は下がっても一律救済を」という原告団の最終提案で国に突きつけられました。口だけの「反省」や「謝罪」では何も救われません。

投稿: pochi | 2007年12月20日 (木) 09時29分

ポチさん、こんにちは。

>「馬刺し」の記事にTBするわけもいかず、TB先の適当な記事がなくてお困りになったんだろうなと思います。

えーと、少し強引なトラックバックだったことは認めますが(笑)、それをきっかけにして、私の記事よりもずっと具体的な記事を書いていただいたのですね。ありがとうございます。

被害者が多ければ多いほど責任は重大であり、だからこそ救済すべきである、というのははっとさせられる意見でした。戦争被害についても言えることですね。だけど、「戦争被害は国民が等しく受忍するものである」などという「論理」で国民は一方的に被害を甘受させられているだけ。実際には、国民は等しく被害を受忍しているわけではない。戦争から利益を得た者もいるし、被害を受けなかった者もいる。死んだものもいるし、生き残った者もいる。

投稿: 村野瀬玲奈 | 2007年12月21日 (金) 23時47分

村野瀬さん
コメントありがとうございます。

さっき、ネットでニュースを見てたら、福田さんが「一律救済」の政治決断をおこなうと表明していました。内容はまだわからないので何とも言えませんが、選挙目当てだとしても、少しはまともなことをしてほしいものですね。

投稿: pochi | 2007年12月23日 (日) 15時44分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/190664/9460176

この記事へのトラックバック一覧です: 賠償額は本当に大きいのか?:

» いつの間にか・・大本営 [気の向くまま]
pochiさんブログ 岩国での川原集会・大成功の話で、 これからは、 日本も少しましな国になってくれるかな? という思いも、 どうやらぬか喜びになりそうなニュースがありました。   * * * * * 専門家に言わせると、 全くの茶番システムである、 ミサイル防衛システム=MDシステムで、 海上自衛隊は、 とうとう、迎撃試験をしたようです。 そして、そのことを、 マスコミは「大成功」と騒ぎ立てました。 これって、「大本営発表」でしょう? ミサイル防衛システム    飛来する弾道ミサイルを ... [続きを読む]

受信: 2007年12月19日 (水) 17時24分

« 馬刺しは「注入」されてなくてもウマイ! | トップページ | 飾り立てた言葉の裏に隠した薄汚い本音 »