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2007年5月 7日 (月)

岩国市議会のオドロオドロしい決議

Ts3a0128

 自分たちだけメシ食いやがって。
 あ~腹減った。
 オレのメシはどうすんだよ!

 


 あ、失礼しました。ポチです。
 今日は、久々に山口県の話題を書こうと思います。

 年度末の仕事に追われていた時に、いろんなことが起こりました。
 その一つが、岩国市の3月定例市議会であがった決議です。

 岩国をめぐる問題については、この間、何度か書いてきましたので、経過については、それを参照してください。
◆12月26日付「『美しき国』にはそぐわないイジメ」
 http://pochicoro.cocolog-nifty.com/blog/2006/12/post_caaf.html

◆12月28日付「岩国市議会のあきれた問責決議」
 http://pochicoro.cocolog-nifty.com/blog/2006/12/post_8451.html

 で、3月市議会であげられた決議というのは、次の2つです。
 一つは、「在日米軍再編に係る決議」というものです。全文を紹介します。少し長いですがご勘弁を。

      「在日米軍再編に係る決議」

Top_img  不安定の弧といわれる日本を含む東アジア地域の軍事バランスが崩れていこうとしていることから、在日米軍の再編が喫緊の課題となっているという今日、昨年5月の日米合意及び閣議決定の後、今年の2月9日には米軍再編特別措置法案が国会の提出され、大きな節目を迎えている。
 この間、国から岩国市の議会及び住民に対して、空母艦載機の移駐に伴う諸処の事項について説明が重ねられ、市民の理解が深まったとの声があることは確かである。しかし、一方国と市とのやり取りの中で相互の不信感がめばえてくるにつけ、それがまた市民の不安の種になるという悪循環も生じておるのは事実である。
 こうした状況を憂い、市民の間には「このままでは何も解決せず、将来の展望が開けない。何とかしなければ」という窮状打開の声が起こっている。
 もとより、基地周辺住民の生活環境には最大限の配慮が必要なことは言うまでもない。
 そこで、国からの説明で明確になったことは、岩国市議会として要望決議を出していた最大の懸案事項である「夜間離発着訓練」は、引き続き硫黄島で実施され、恒常的な訓練は岩国及びその周辺では行わないこと、艦載機移駐後の基地周辺の騒音や安全性については、十分な調査を行い万全を期すこと、等広範に渡っている。
 そもそも、国が進める「国民の安全保障政策」と自治体の役割である「住民福祉の増進」の取り組みは、総合的判断と相互関連性によって成立するものである。双方相容れない閉塞状況が続くことは、ともに不幸な道を進む事につながりかねない。
 今こそ、国と自治体のあり方の原点に立ち返り、これを契機にお互いに補い高め合う関係を構築する必要に迫られていると考える。
Top_img02  そこで、度重なる国の説明では、再編は地元の理解と協力の下是非とも実施しなければならないとの強い意志が示されるとともに、特別措置法案において円滑かつ迅速に実施する旨の規定がおかれた今、岩国市のなすべきことは、住民の不安を取り除くべく安心安全を具体的に確保する手立てを講じることと考える。
 さらに、現実の負担に対して、これを少しでも和らげ、さらなる理解と協力を得る不断の努力が払われる必要がある。その際、国民の安全に対する地元の貢献に報いる配慮として、国が用意する地域振興策を導入することも、その一助となりうると考える。
 これらが新たなまちづくりに役立てられ、住民の福祉の増進に資することができれば、基地の負担を補うのみならず、それ以上の成果も期待されるところである。
 苦渋の選択をしなければならない市民にとって納得にいくところにもなる。
 よって、市長におかれては、米軍岩国基地を抱える自治体として、現実の国際情勢の下、国が高度に判断された安全保障上の施策の重要性を理解し、現実的かつ効果ある取り組みをされるよう強く要望する。
 以上決議する。

 というものです。(文中の写真は「中国新聞」のHPからお借りしました)

 ようするに、こういうことでしょう。

◆国がきちんと説明して、市民の艦載機受け入れへの理解はすすんでいる。なのに、市長がかたくなな態度をとっているから市は混乱している
◆NLP(夜間離発着訓練)はしないなどの約束は得られているではないか
◆国の艦載機移転への決意は固い。そうであれば、どう受け入れるのかを市長は考えるべきだ
◆国が移転受け入れの代償として準備する振興策で住民の福祉を向上させればいいではないか。そうすれば、受け入れの負担以上のものが手に入る。

 国の決意が固いのはわかっています。だって、「なんでもアメリカの言うとおり」なんですから。一方で、市民の決意の固さも、住民投票や市長選挙で示されたじゃないですか。市議のみなさんは、どっちの決意を大切にするんですか?という問題です。
 いま、「国の安全保障政策」と「自治体の福祉の増進」が岩国の地で正面からぶつかり合っているのです。それを「お互いに不幸になるんじゃなくて、高めあいましょう」なんて、冗談じゃないです。
 国や米軍の約束なんて当てにならないことは、沖縄の実態が示していますし、なによりも岩国市民自身が肌身に感じているのです。岩国市民は、「心配しなくても大丈夫ですよ」っていわれて、次々に基地強化を受け入れてきました。そして、突然のNLP、多数の基地被害。「もうがまんならん!」って市民は立ち上がったのです。
 ようするに、「振興策」なんですよね。「振興策で福祉の増進を」なんて、ウソばっかり。土建屋さんがいい思いをするだけなんでしょ。
 こんな決議がいとも簡単にあげられることへの怒りがふつふつと湧き起こってきます。

 もう一つは、「国防協力都市宣言を求める決議」という、なんともオドロオドロしい名前の決議です。
 全文は、次の通りです。

       「国防協力都市宣言を求める決議」

 先の大戦以来、我が国は平和と自由のうちに経済や文化を発展させてきた。
 しかしながら、人類の強い平和への希求にもかかわらず、世界の各地で国際紛争が発生し、戦乱の悲劇に遭遇した多くの国々の不幸を私たちは知っている。
 過去の歴史の中で、予期せぬ形で突如として、平和への破壊と侵略が発生し、平和な生活が踏みにじられてしまう事がしばしば起こっている。
 近年、東西冷戦構造の崩壊以降、国際情勢は不安定化に向かい、9・11テロに代表される国際テロなどの新しい脅威の台頭や核兵器、生物、化学兵器など大量破壊兵器の拡散、弾道ミサイル攻撃の危険等々、安全保障環境も大きく変化しており、わが国の防衛問題についても新たな認識が求められている。
 幸いにして、今日、国民の各層に亘り、国の安全と防衛が、国民生活の根幹に関わる極めて重要な事として認識され、国防に対する理解が深まりつつある。
 国の安全なくして平和はなく、平和なくして国民の安穏な生活も反映もありえない。国を守るという事は、私たちの自由で平和な生活を守る事である。
 岩国市は永年に亘り、国防に理解を示し、協力してきたところであるが、わが国をとりまく国際情勢の不透明化に伴う安全保障体制の変化に対応して、新たな理解と協力の必要性を痛感している。
 議会は岩国市に「国防協力都市」を宣言することを求める。
 以上、決議する。



 これをはじめてみた時、一瞬、「戦前にあげられた決議かいな、これは」と絶句してしまいました。
 何か、「ほしがりません勝つまでは」っていう戦前の標語が思い浮かんでしまいました。

 ようするに、「だから艦載機を受け入れないといかん」ということなのでしょう(太字のところ)。
 米軍再編がどうして「国防」という話になってしまうのでしょうか。
 この「決議」のいうとおり、「人類の強い平和への希求にもかかわらず、世界の各地で国際紛争が発生し、戦乱の悲劇に遭遇した多くの国々」がうまれています。そのほとんどの場合、「国際紛争」を起こしてきたのは、誰あろう米軍ではないですか。これが事実です。「米軍再編」とは、より効果的にその「国際紛争」をおこしていくためのものでしょ。それに手を貸そうというわけで、それでは話が逆でしょう。
 岩国市議の方の多くは、そんなこともわからないのでしょうか。



 これらの決議は、34人の議員のうち、賛成が22人、反対11人で可決されました(議長を除く)。
 一番、許せないのは、市議選の前と後でがらりと態度を変えた市議の方がおられることです。
 市議選は、昨年の10月におこなわれました。「艦載機移転に反対」と主張して選挙をたたかった方が17人、「容認派」といわれる方が12人、態度を表明されなかった方が5人、当選されました。
 つまり、17人のうち6人の方が、選挙が終わったとばかりに「容認派」に乗り換えておられるわけです。
 その代表選手が公明党の4人の方です。選挙のときは「反対」を訴えられていたのですが、「民意は変わった」として、この決議案を提案されたのが、なんと公明党なのだそうです。


 ついでに言っておきますと、岩国市議会は、3月議会で今年度の予算案を反対多数で否決してしまいました。
 井原市長さんは、再度、次の議会で予算案を提案されることになると思いますが、そこでも否決されるようなことになったら、再度の市長選、もしくは市議選になるか、いずれにしても、もう一山大きなたたかいになっていくと思います。

 こんな理不尽なことは絶対に許されないという市民の声、県民の声を突きつけていくために、可能な限りはせ参じようと心に決めているポチでした。

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コメント

大変なことになっているのですね。
「国防協力都市宣言」とは悲しいです。
こんなことをしなくてはならない世の中にしたのは誰なのか。
怒り!!!です。
pochiさんがんばれ。

投稿: jun | 2007年5月 9日 (水) 23時50分

pochiさんこんにちは。
TBありがとうございました。今回のエントリー、岩国ではこういうことが起こっていたのかととにかくびっくりです。
最初から賛成派の自民の議員の態度は立場上ともかくとして、豹変公明党の4人、なんなんでしょう?上へ上へと恭順を示す卑屈な態度に見えてしまうのですが...

投稿: 村野瀬玲奈 | 2007年5月10日 (木) 13時24分

junnさん
村野瀬さん
コメントありがとうございます。風邪を引いて寝込んでいて返事のコメントが遅れてすみません。

junさん
「平和都市宣言」なら聞いたことがありますが、「国防都市宣言」なんて聞いたことないでしょ。この決議に賛成した議員たちの頭の中には日本国憲法のカケラもないのでしょうね。

村野瀬さん
公明党市議団は「民意は変わった」って言ってるんですが、何を根拠に言ってるんでしょうか。
この決議の直後におこなわれた県会議員選挙(岩国市区)でも、艦載機移転反対を訴えた民主(新)と共産(元)の候補が2人とも当選し、自民党の現職候補が落選しました。民意がどこにあるかは明らかだと思っています。

投稿: pochi | 2007年5月12日 (土) 11時06分

はじめまして
じつはお気に入りに登録していつも読ませていただいてます。
山口県に住んでいます。
岩国市議会の「国防協力都市宣言を求める決議」には
集会で聞いてびっくりしました。
あんまりなので全国の人に知ってもらいたいと思い「マガジン9条」にも投稿しました。

岩国クンがんばれ!という西山監督の新作ドキュメンタリーの
草の根上映会が各地で始まるそうです。
ちょっと長いけど貼り付けさせて下さい。
国や県が市民をいじめる事態、こんなのヘンだよねと
みんなで声をあげていきたいです。

映画『消えた鎮守の森~見えてきた沖合移設のからくり』
◎山口県全域・岩国全域草の根ネットワークによる巡回上映を開始します!巡回上映スケジュール
無料なんですが各会場でカンパをお願いするようです。
 2007年6月10日(日)通津公民館(岩国)14時上映

 6月10日(日)平田供用会館(岩国)19時上映

 ★6月15日(金)下関市菊川町/菊川総合福祉会館19時上映

 6月16日(土)岩国供用会館(岩国)14時上映

 6月16日(土)錦町ふるさとセンター(岩国)19時上映

 6月17日(日)由宇文化会館ホール(岩国)13時30分上映

 6月17日(日)牛野谷供用会館(岩国)19時上映

 ★6月18日(月)山口市吉敷/喫茶ういるびー2Fギャラリー19時上映

 ★6月19日(火)宇部カトリック教会19時上映

 ★6月20日(水)周南市須々万/教念寺19時30分上映

 ★6月21日(木)萩市上映(予定)

 6月30日(土)愛宕供用会館(岩国)19時上映

 主催/山口県巡回草の根上映ネットワーク

お問合せ/080-5255-7406(西山)090-8609-9724(石田)


投稿: だじゃらん | 2007年6月13日 (水) 09時27分

だじゃらんさん
コメントありがとうございます。

貴重な情報をありがとうございました。
以前の記事へのコメントなので、あらためてエントリーを立てて紹介させていただきます。

投稿: pochi | 2007年6月13日 (水) 20時08分

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受信: 2007年5月10日 (木) 13時20分

» 会の主旨 [岩国市新庁舎募金の会〝風〟]
最近の日本政府のやり方を考えると、「はらわた」が煮えくり返るのです。こうして皆 [続きを読む]

受信: 2007年5月18日 (金) 20時25分

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