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2007年2月 8日 (木)

空想の世界を遊んでいるのか? はたまた、想像力がないのか?

 ポチです。
 今日は長くなるので、いきなり本題です。

 今日一番アタマニキタのは、奥谷禮子さんの発言。朝、新聞読んで「目がテン」になりました。時間がなくて見ていないんだけど、他の方のblogでも、きっとこの話題で沸騰しているのじゃなかと思います。他のことを書こうと思っていたのだけど、急遽、これにしました。

「『過労死、自己管理の問題』『祝日・労基署は入らない』 労政審委員、週刊誌に“持論”」(朝日新聞)

 奥谷禮子さん。人材派遣会社「ザ・アール」の社長さん。で、日本郵政株式会社の社外取締役で、ローソンの社外取締役で、日本アムウエイの諮問委員で、甲南大学の客員教授で、経済同友会の理事で……、ウワ~、この人の肩書きすごいや、肩書き書くだけで今日のblogが終わってしまいそう。で、厚生労働大臣(ウワッ、アノ人だ!)の諮問機関の労働政策審議会の労働条件分科会の委員。

 で、週刊誌と言うのが「週刊東洋経済」紙の1月13日号。ここで、奥谷さんがどんなことを言ったかっていうと、こんな感じ。

「若い人の中には、もっと働きたくてウズウズしている人たちがいる。結果を出して評価を得たいから、どんどん仕事をするわけですよ。今まで8時間かけてた仕事を4時間でこなして、残り4時間は勉強に充てようとか、ボランティアをやろうとか、介護や育児に回すこともできる。24時間365日、自主的に時間を管理して、自分の裁量で働く、これは労働者にとって大変プラスなことですよ」
「自己管理しつつ自分で能力開発をしていけないような人たちは、ハッキリ言って、それなりの処遇でしかない」
「格差社会なんて言いますけど、格差なんて当然出てきます。仕方がないでしょう。能力には差があるのだから。下流社会だの何だの、言葉遊びですよ。そう言って甘やかすのはいかがなものか、ということです」
「さらなる長時間労働、過労死を招くという反発がありますが、だいたい経営者は、過労死するまで働けなんて言いませんからね。過労死を含めて、これは自己管理だと私は思います」
「自分でつらいなら、休みたいと自己主張すればいいのに、そんなことは言えないと、ヘンな自己規制をしてしまって、周囲に促されないと休みも取れない。挙句、会社が悪い、上司が悪いと他人のせい。ハッキリ言って、なんでもお上に決めてもらわないとできないという、今までの風土がおかしい」
「たとえば、祝日もいっさいなくすべきです。24時間365日を自主的に判断して、まとめて働いたらまとめて休むというように、個別に決めていく社会に変わっていくべきだと思いますよ。同様に、労働基準監督署も不要です。個別の労使が契約で決めていけばいいこと。『残業が多すぎる、不当だ』と思えば、労働者が訴えれば民法で済むことじゃないですか」
「何でこんなくだらないことをいちいち議論しなければならないのかと思っているわけです」

 スッゲ~~ッ!
 なるほど、あの方たちから見れば、下々の者はこう見えるんだって、へんに感心してしまいました。このものの言い方って、郷土のホコリ・アベシンゾーとほとんどいっしょですよね。

 で、労働政策審議会の労働条件分科会の議事録をみつけたので一部を紹介します。昨年の10月24日の会議です。

○奥谷委員 私の言っているのは、ホワイトカラーエグゼンプションに変えて、好きな時間帯で夜も働けばいいわけで、朝から夜中まで働けとは言っていないわけです。ですから、朝9時から夜中の3時、4時まで働くことに対して割増賃金がどうのこうのということをおっしゃっているわけでしょう、そうではなくて、8時間だったら、1時から9時なり10時まで働くのは構わないのです。
 そういう意味で自主管理とか、自分の仕事を管理するとか、自分の裁量で決めるとい
うことを、なぜ任せないのか。なぜいちいち法律で決めてやっていかなければいけない
のかということがわからないのです。
○田島委員 いま委員が言われたことは、41条2項の労働時間の適用除外の人は本来できるはずなのです。そういう人たちでさえ、遅刻したり、勤怠で制裁を受けたり、査定をうけたり、あるいは適用除外の人たちの8割が会社側に時間管理をされていますというのが実態なのです。いま言っている適用除外でさえ、そうではないでしょうという現実をどう見るかということです。
○奥谷委員 現実の企業では、そこまでの部分はありません。ある程度フレキシブルにやっています。夜中もし働くのであれば午後から出てきていいとか、そういう形で健康管理も含めて。人材が大事なわけです。またそういう会社であれば人が来なくなります。ですから、今度は企業が選ばれてしまうわけですから、そういうことに対しては、いかに、どう労働者が働いてくれるかということに対して、企業はかなり神経質になってきます。私は皆さんがタコ部屋みたいな発想で、そんなに心配することはないと思います。
○長谷川委員 すべて日本の企業が、委員のような会社だったら、本当にみんな幸せだと思います。そういう会社だけではないのです。先日、家族が過労自殺したとか、過労死した人たちが、いろいろな意見を持って来られて、その話を聞いていてわかったのですが、そういう人たちの話は、ほとんど一般の労働者ではなく、どちらかというと中間か、管理監督者だったのです。本人は働いていく。会社もその人にしてほしいと期待するのです。会社もそういう人たちに対して健康管理をしなくなってしまう。そういう人はすごく真面目で責任感が強いから、どんどん働いてしまうのです。
 これはそういう人の妻に聞いた話ですが、バタッと死ぬのだそうです。これは過労死の特徴だそうです。日本の中で過労死とか、過労自殺がゼロになったら、この話はもっとお互いにできるのだと思います。しかし、現実に過労死とか、過労自殺があって、労災認定を受けたり、訴訟をやっている人もいるわけです。委員のような会社だったらないと思いますが、日本の企業は北海道から沖縄まであるわけですから、守れなかったり、労働者の健康管理ができない所にもあるわけです。だから、基準法で最低基準を決めましょうということなのです。企業も会社の役員も、もっと労働者や中間管理者の健康を気遣って、「駄目だぞ、このぐらいになったら働いちゃ駄目だ、休みなさい。あなたは今日はもう帰りなさい」というようにしたら、過労死や過労自殺はゼロになると思います。ところが、不幸なことに、我が国は過労死や過労自殺はゼロではなくて、むしろ増えています。だから、労働時間の、特に深夜労働はどうなのかということを不幸なことに議論せざるを得ないというのが現実だと思います。
○奥谷委員 過労死まで行くというのは、やはり本人の自己管理ですよ。
○長谷川委員 でも自己管理だけではなく、会社も仕事をどんどん与えるのです。
○奥谷委員 でも、それをストップするというのも。
○長谷川委員 世の中は委員みたいな人ばかりではないのです。それが違うところなのです。
○奥谷委員 はっきり言って、労働者を甘やかしすぎだと思います。
○長谷川委員 管理者ですよ。管理者たちにそういうのが多いのです。
○奥谷委員 管理者も含めて、働いている一般労働者も含めて、全部他人の責任にするということは、甘やかしすぎですよ。
○長谷川委員 そんなことはないですよ。それは違います。
○奥谷委員 それはまた組合が甘やかしているからです。
○長谷川委員 そんなことはありません。

 なるほど、“持論”ですね…。

 どうもこの人は、空想の世界に生きているんでしょうか?それとも、逆説的になるけど、想像力が足らないんでしょうか?
 「自分でつらいなら、休みたいと自己主張すればいいのに、そんなことは言えないと、ヘンな自己規制するから悪いんだ」とか、「過労死するような会社だったら人が来なくなるから、会社だってどんなことをするはずがない」 とか。
 どこの世界に、好んで過労死する労働者がいるでしょうか。しんどくても休めないような働かされ方をしてるから過労死するのでしょ?で、その働かせ方をしてるのは会社じゃないですか。
 過労死するような会社に人は来ない?とんでもないです。家のローンを抱え、子どもを学校に行かせてるお父さんが、「過労死しそうだからこの仕事やめる」って言って、手取り10万円そこそこの非正規雇用の労働者になれると思っているんでしょうか、この人は?・・・「今度は企業が選ばれてしまう」・・・冗談じゃないです。

 「格差なんて当然出てきます。仕方がないでしょう。能力には差があるのだから。下流社会だの何だの、言葉遊びですよ。そう言って甘やかすのはいかがなものか」・・・。
 「言葉遊び」ねェ・・・。ホントに言葉の上でだけの話だったらいいのにね。
 病気になっても、国保料が払えずに、保険証を取り上げられて病院にも行けないまま亡くなった人の話も、生活保護を受けられずに誰も知らないうちに餓死した人の話も、不況で倒産し、生命保険で借金の返済にと自殺したた中小業者のオヤジさんの話も、みんな言葉の上だけでの話だったらいいのにね。でも、残念ながら、みんな実際にこの日本社会で起こっている話。
 そして、「貧困世帯」って言われるのは400万世帯。ごく一部の特殊な人たちの話じゃないんです。

 日本国憲法は、国民の誰もが健康で文化的な最低限の生活を営む権利をもっていると定めています。
 障害をもっていようと、病気や加齢のため体が十分に動かせなくなっていようと、奥谷さんが言う「能力のない」人であろうと、誰もがその権利を持っています。
 いま、あまりにもこのことが軽視されているのではないでしょうか。

 こんなのを見つけました。↓
 http://www.e-themis.net/new/feature/read_0605.php

 奥谷さんの「ザ・アール」が郵政公社の企業向け研修を委託されてやっているそうです。これまでの郵便局の接客方針が否定されるのではと心配する関係者の声が紹介されています。

 田舎に住んでいるポチでも驚いたんだから、大都会に住んでいる人はビックリすると思うんだけど、こんなこと知ってますか?先日、仕事で旧田万川町(合併して、現在は萩市。東隣は島根県の益田市。だから、山口県の北東の端っこの町です)に行ったときに聞いた話です。
あるお年寄りが、「最近は郵便小包をもって行ってくれなくなった」って言うんで、「ヘッ!どういうことですか?」って聞いたら、かつては、電話を事前にして、家の郵便受けのところに小包とお金を置いておけば、郵便を配達に来る郵便職員さんがもっていってくれたというんです。公社になってから、それをしてくれなくなったという不満でした。
 さらに、聞いていくと、今でも、普通のはがきとか封書は、郵便受けにおいておけば、もって行ってくれるというんです。高齢者が多く、過疎の町ならではのサービスだなあと感心しました。
 ポチが話をしたお年寄りのお宅は、毎日の定期刊行物をとっていて、毎日、郵便屋さんが来るので、はがきや封書をだすのはまったく困らないと言っておられました。でも、お年寄りの一人暮らしで、郵便物がほとんど来ないおうちでは、当然、郵便屋さんもこないわけで、そんな人は、郵便を出すのも不自由になっているという面も一方ではあるんですけど。

 こんな旧田万川町や隣の旧須佐町(これも合併で萩市に)なんかでは、郵便局の職員が、お年寄り世帯への声かけなどをおこなって、ありがたがられているという話は聞いていましたが、こんなサービスまであるとは思いもよりませんでした。

 郵便局に友人に話を聞くと、集配局の閉鎖でいよいよ仕事がたいへんになっているとのことでした。それこそ過労死寸前のようです。

 奥谷さんのご指導のもと、こんなサービスも、どんどんなくなっていくのでしょうネ。孫に手紙を書いても出すこともできないお年寄りが過疎の町にはうまれてきそうな日本の社会っていったい何なんでしょう?
 悲しくて、遠吠えをしてしまったポチでした。

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コメント

ひどいですねえ。
読ませていただいて、人脈のドロドロが、政治を動かしているのが良くわかります。
水戸黄門の時代、悪代官と越後屋「お主も・・・・ひひひ。」の世界が今も脈々と続いて、癒着をごまかす言葉だけが幅を利かせているのですね。
http://red.ap.teacup.com/tyoiba6/

投稿: | 2007年2月 9日 (金) 13時55分

junさん(ですよネ?)
どうして、こんな人が大きな顔をしていられるのか、ホントに不思議です。こんな話を聞くたびに、日本国憲法が持っている大切なものが、いま大きくゆがめられようとしていることを実感させられます。

投稿: pochi | 2007年2月 9日 (金) 22時18分

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